ハーグ協定に係る出願のための実施細則(Administrative Instructions for the Application of the Hague Agreement)
(2019年1月1日施行)
目次
第一部: 定義
第101節:略称
第二部: 国際事務局との通信
第201節:書面による通信、一の封筒に二以上の文書を含める場合
第202節:署名
第203節:[削除]
第204節:電子的通信
第205節:機関のウェブサイト上で利用可能なユーザーアカウントを通じて行う通信
第三部:氏名又は名称及びあて先に関する要件
第301節:氏名又は名称及びあて先
第302節:通信のためのあて先
第四部:複製物及び国際出願の他の要素に関する要件
第401節:複製物の提示
第402節:意匠の表現
第403節:ディスクレーマー及び意匠又意匠が使用されることとなる製品の一部分を構成しないもの
第404節:写真及び他の図示的表現に関する要件
第405節:複製物の番号及び凡例
第406節:見本に関する要件
第407節:本意匠、本出願又は本登録との関係
第408 節: 国際出願において許容される事項及び国際出願に添付できる書類
第五部:拒絶
第501節:拒絶の通報の送付の日
第502節:国際登録の分割の通報
第六部:公表の延期の際の限定又は放棄の記録についての請求
第601節:限定又は放棄の記録を請求する期限
第七部:更新
第701節:期間の満了の非公式の通知
第八部:手数料
第801節:支払の方法
第九部:秘密の写し
第901節:秘密の写しの送付
第902節:国際登録に関する情報の更新
第一部
定義
第101節
略称
(a) この実施細則の適用上、
(i) 「共通規則」とは、意匠の国際登録に関するハーグ協定に基づく共通規則をいう。
(ii) 「規則」とは、共通規則の規則をいう。
(b) この実施細則で使用され、かつ共通規則第一規則に規定する表現は、共通規則と同一の意味を持つ。
第二部
国際事務局との通信
第201節
書面による通信、一の封筒に二以上の文書を含める場合
(a) 国際事務局に宛てた通信は、タイプライター又はその他の機械による書面によって行い、署名する。
(b)一の封筒に二以上の文書を含めて郵便で発送する場合には、それぞれの文書を特定する一覧表を添付する。
第202節
署名
署名は、手書き、印刷、又はスタンプによるものとする。場合に応じて、署名は、印章の押印に置き換えることができ、第204節(a)(i)若しくは(ii)に規定する電子的通信又は第205節に規定するユーザーアカウントを通じてされる通信については、国際事務局が定める又は国際事務局と関係する官庁との間で合意される表示の方法に置き換えることができる。
第203節
[削除]
第204節
電子的通信
(a) (i) 国際事務局との通信は、国際出願の提出を含め、国際事務局が確認する時期、方法及び様式による電子的手段によって行うことができ、その細目については機関のウェブサイトで公表する。
(ii) 上記(i)の規定にかかわらず、また下記(d)の規定を条件として、官庁と国際事務局との間の電子的通信は、国際事務局と当該官庁との間で合意する方法により行うことができる。
(b)国際事務局は、速やかにかつ電子的送信により、電子的送信の発信者に当該送信を受理した旨を通知する。また、受理した電子的送信が不完全又は他で使用不能な場合には、送信者を特定できかつ連絡することができることを条件として、当該事実についても発信者に通知する。そのような受取通知が国際出願についてのものであるときは、受理した日を当該通知に含める。
(c)通信が電子的手段により国際事務局に送付され、かつ当該通信が送付された場所とジュネーブとの間の時差により、当該通信が開始された日と国際事務局が通信を完全に受理した日とが異なる場合には、両日のうちより早い日を国際事務局が受理した日とみなす。
(d) 締約国の官庁が、公報の各号が公表される日についての国際事務局による通信の受理を希望する場合には、当該官庁は、国際事務局にその事実を通報し、通信の送信先となる電子メールアドレスを提示する。
第205節
機関のウェブサイト上で利用可能なユーザーアカウントを通じて行う通信
(a) ユーザーアカウントは、国際事務局が発行する「使用条件」に同意する関係者によって作成される。当該ユーザーアカウントを通じて行う通信は、アカウントの名義人のユーザー名及びパスワードの使用により認証される。
(b) 国際出願又は「使用条件」に定めるところによるその他の請求は、機関のウェブサイト上で国際事務局により利用可能とされる電子インターフェースを利用して提出することができ、その場合には電子メールアドレスを表示する。
(c) 国際事務局は、ユーザーアカウントを通じて、当該アカウントの名義人に通信を送付することができる。
第三部
氏名又は名称及びあて先に関する要件
第301節
氏名又は名称及びあて先
(a) 自然人の場合には、表示する氏名については、姓及び名とする。
(b) 法人の場合には、表示する名称については、法人の完全な公式名称とする。
(c) 氏名又は名称がローマ字以外の文字である場合には、当該氏名又は名称の表示は、国際出願の言語の発音に従ったローマ字への音訳による。法人の名称がローマ字以外の文字による場合には、その音訳は、国際出願の言語への翻訳に置き換えることができる。
(d)あて先は、郵便物が速やかに配達されるための慣習上の要件を満たすように記載するものとし、少なくとも全ての該当する行政単位からなり、もしあれば、番地を含む。更に、電話番号及びファクシミリ番号、電子メールアドレス、並びに通信のための異なるあて先を表示してもよい。
第302節
通信のためのあて先
異なるあて先を有する二以上の出願人又は新権利者がいる場合であり、かつ代理人の指定がない場合には、通信のための一のあて先を表示する。そのようなあて先が表示されていない場合には、最初に記載された者のあて先を通信のためのあて先として扱う。
第四部
複製物及び国際出願の他の要素に関する要件
第401節
複製物の提示
(a) 一の国際出願には、白黒又はカラーによる写真及び他の図示的表現の双方を含めることができる。
(b)国際出願に添付する複製物は、一の写しにより提出する。
(c)書面により提出する国際出願に添付する写真又は他の図示的表現は、白色不透明のA4用紙の別紙に直接貼り付け又は印刷する。 当該別紙は縦にして使うものとし、二十五を超える複製物を含めてはならない。
(d) 国際出願に添付する複製物は、出願人が公表を希望する向きで配置しなければならない。当該出願が書面により提出される場合には、各意匠の複製物の周囲には少なくとも五ミリメートルの余白を残す。
(e) 各複製物は、矩形の範囲内に収めなければならず、他の複製物又は他の複製物の一部、及び番号を含めてはならない。写真又は他の図示的表現は、折りたたまず、ステープルで留めず、また、一切記入をしてはならない。
第402節
意匠の表現
(a)写真及び他の図示的表現には、意匠のみ、又は意匠が使用されることとなる製品を表すものとし、他のいかなる対象物、附属品、人又は動物も除外する。
(b) 写真又は他の図示的表現に現れる各意匠の表現物の寸法は、十六センチメートル×十六センチメートルを超えないものとし、各意匠の少なくとも一の表現物について、一辺が少なくとも三センチメートル以上でなければならない。電子的手段による国際出願については、国際事務局は当該最大及び最小の寸法の要件に適合するためにデータフォーマットを定め、その詳細を機関のウェブサイトにおいて公表する。
(c) 次のものは受け入れられない。
(i) 技術的な図面、特に軸線及び寸法を備えたもの
(ii) 表現物中の注釈文又は凡例
第403節
ディスクレーマー及び意匠又は意匠が使用されることとなる製品の一部を構成しないもの
(a)複製物中に表されるが保護を求めないものについては、次のとおり表示することができる。
(i) 第七規則(5)(a)に規定する説明において、及び/又は
(ii) 点線若しくは破線又は着色により
(b) 第402 節(a)の規定にかかわらず、意匠又は意匠が使用されることとなる製品の一部を構成しないものは、(a)に従って表示する場合には、複製物中に表すことができる。
第404節
写真及び他の図示的表現に関する要件
(a) 提供される写真は専門的水準のものであり、全ての角は直角でなければならない。意匠は無彩色で無地の背景に表されなければならない。インク又は修正液により修正された写真は認められない。
(b) 図示的表現は、製図器又は電子的手段で作成された専門的水準のものでなければならず、当該出願が書面により提出される場合には、良質の白色不透明の紙に表さなければならず、全ての角は直角でなければならない。表される意匠は、凹凸を表すために陰影及び斜線を含むことができる。電子的手段により作成される図示的表現は、背景が無彩色及び無地であって、かつ全ての角が直角であることを条件として、表すことができる。
第405節
複製物の番号及び凡例
(a) 複数の意匠を含む国際出願の場合に明記する番号は、それぞれの写真又は他の図示的表現の余白に表す。同一の意匠を異なる角度から表す場合には、番号は、ドットによって分けられる二の数字(例えば、一番目の意匠に対しては、1.1、1.2、1.3等、二番目の意匠に対しては2.1、2.2、2.3等)から成る。
(b) 複製物は、数字の昇順に提示する。
(c) 製品の特定の面を示す凡例(例えば、「正面図」、「平面図」等)は、複製物の番号とともに示すことができる。
第406節
見本に関する要件
(a) 国際出願に添付する平面的な見本については、寸法(広げられた状態)において二十六.二センチメートル×十七センチメートルを、重さにおいて五十グラムを、又は厚さにおいて三ミリメートルを超えないものとする。当該見本はA4用紙に貼り付け、第405節(b)の規定に従い数字を付す。国際事務局に提出された際には、当該見本に対応する各複製物について、同一の番号が割り当てられる。
(b)見本を含む包装物の寸法は、いずれも三十センチメートルを超えず、当該包装物及びその包装材の重量は、四キログラムを超えないものとする。
(c) 腐敗しやすい製品又は保管をすることが危険な製品は受け入れられない。
第407節
本意匠、本出願又は本登録との関係
(a) 出願人が、指定締約国の法令に基づき、国際出願に含まれる意匠の一部又は全部が、国内出願、国際出願、国内登録又は国際登録(本出願又は本登録)に関連するものとして考慮されること、又は、国内出願、国際出願、国内登録又は国際登録に含まれる特定の意匠(本意匠)に関連するものとして考慮されることを希望する場合には、関係する締約国を特定し本出願若しくは本登録又は本意匠の表示を付したその効果の請求を、当該国際出願に含める。
(b) (a)の規定の適用上、本出願、本登録又は本意匠の表示は、次のいずれかの方法によって示す。
(i) 本意匠が同一の国際出願に含まれる場合には、当該意匠の番号
(ii) 本意匠が他の国内登録又は国際登録を対象とする場合には、関係する国内登録又は国際登録の番号、及び、当該登録が二以上の意匠を含む場合には、本意匠の番号
(iii) 本意匠が登録に至っていない国内出願を対象とする場合には、当該国内出願の番号、若しくは、当該番号が入手できない場合には、当該国内出願についての出願人の参照表示、及び、当該出願が二以上の意匠を含む場合には、本意匠の番号、又は
(iv) 本意匠が国際登録に至っていない国際出願を対象とする場合には、国際事務局が当該国際出願に付与する参照表示、及び、当該出願が二以上の意匠を含む場合には、本意匠の番号
(c) (a)の規定に基づく請求が国際出願に含まれる意匠の一又はいくつかに関する場合には、当該請求には、関連する意匠の番号も表示する。
第408 節
国際出願において許容される事項及び国際出願に添付できる書類
(a) 出願人が、第七規則(5)(c)の規定に基づいて先の出願の優先権を主張する旨の宣言を国際出願において行った場合には、当該主張には、優先権の書類のためのデジタルアクセスサービス(DAS)の電子書庫から当該出願を検索するためのコードを添付することができる。
(b)出願人が、指定締約国による千九百九十九年改正協定第七条(2)の規定に基づく宣言の中で示された、個別の指定手数料の減額の利益を享受することを希望する場合には、その国際出願には、当該宣言に示される減額された手数料について当該出願人に資格を与える経済的状況についての表示又は主張を含め、また、適用される場合には、その証明書を含むことができる。
(c) (i) 出願人が、指定締約国の法令に基づき、国際出願において新規性喪失の例外に関する宣言を行うことを希望する場合には、当該宣言は、その宣言が関連する意匠についての表示とともに、次の文言を記載する。
新規性喪失の例外に関する宣言
「出願人は、この出願に含まれる[全ての] [以下の]意匠の開示に関し、指定締約国の適用される法令が規定する例外的な取扱いの利益を享受することを主張する。」
(ⅱ)出願人が、開示の種類及び日付についての資料の提出を希望する場合には、当該国際出願にそのような資料を添付することができる。
(d) 出願人が、第七規則(5)(g)に規定する声明の提出を希望する場合には、当該声明は、関係する指定締約国の合意のもと国際事務局が定める形式によるものとする。
第五部
拒絶
第501節
拒絶の通報の送付の日
拒絶の通報が郵便業務を通じて送付された場合には、発送の日は、その消印により決定する。消印が判読できない又はない場合には、国際事務局は、当該通報を国際事務局による受理の日の二十日前に送付されたものとして取り扱う。ただし、このように定められた発送の日が、拒絶の日又はその通報において言及される送付の日よりも早い場合には、国際事務局は、当該通報を、拒絶の日又はその通報において言及される送付の日に送付されたものとして取り扱う。拒絶の通報が配達業務を通じて送付された場合には、発送の日は、当該配達業務によって記録される郵送の細目に基づき、当該配達業務により付された表示によって決定する。
第502節
国際登録の分割の通報
第十八規則(3)の定めるところによる拒絶の通報に従い、指定締約国の官庁において国際登録が分割される場合には、当該官庁は、その事実を次の追加事項とともに国際事務局に通報する。
(i) 通報を行う官庁
(ii) 関係する国際登録の番号
(iii) 関係する官庁における分割の対象となる意匠の番号、及び
(iv) 結果として生じる国内出願番号若しくは広域出願番号又は登録番号
第六部
公表の延期の際の限定又は放棄の記録についての請求
第601節
限定又は放棄の記録を請求する期限
国際登録の公表が延期される場合には、その国際登録に係る限定又は放棄の記録の請求は、適用される要件に従い、延期の期間の満了の三週間前までに国際事務局により受理されなければならない。これが満たされない場合には、当該国際登録は、延期の期間の満了をもって、限定又は放棄の記録の請求を考慮せずに公表される。ただし、限定又は放棄の請求が要件に従うことを条件として、当該限定又は放棄は国際登録簿に記録される。
第七部
更新
第701節
期間の満了の非公式の通知
第二十三規則の規定に基づいて、国際事務局が、名義人及びその代理人がある場合は当該代理人に国際登録の満了の日を示した通知を送付する際に、その通知には、当該通知の日において、また、千九百九十九年改正協定第十七条(3)(c)の規定及び第三十六規則(2)の規定に基づいて各締約国が通告した保護の最長の存続期間に従い、国際登録の更新が可能である締約国の表示も含める。
第八部
手数料
第801節
支払の方法
手数料は、次の方法により、国際事務局に対して支払うことができる。
(i) 国際事務局に開設された口座からの引き落とし
(ii) スイスの郵便口座又は国際事務局の所定の銀行口座への支払
(iii) 国際事務局により利用可能とされたオンライン支払システム
第九部
秘密の写し
第901節
秘密の写しの送付
(a) 千九百九十九年改正協定第十条(5)に規定する国際登録の秘密の写しは、第204節(a)(ii)の規定に従い、電子的手段により関係する官庁に送付する。
(b) (a)の規定にかかわらず、第十規則(1)(ii)の規定に基づいて国際事務局に提出される見本は、適当な方法により送付する。
第902節
国際登録に関する情報の更新
(a) 第901節(a)に規定する国際登録が、第十六規則(5)の規定に基づいて取り消される場合には、当該取消しは、当該国際登録の秘密の写しを受理した官庁に通報される。
(b) 第901節(a)に規定する国際登録について、当該国際登録の公表前に第二十一規則(1)(a)の規定に基づいて国際登録簿に変更が記録される場合には、当該変更は、それが他の締約国の指定に係るものである場合を除き、当該国際登録の秘密の写しを受理した官庁に通報される。
(c) (b)の規定は、第二十二規則(1)の規定に基づいて、国際登録の公表の前に効果を有する更正に適用する。
(d)この節に規定する取消し、変更又は更正は、第901節(a)に定めると同一の方法により通報する。