用途発明

用途発明とは、(i)ある物の未知の属性を発見し、(ii)この属性により、その物が新たな用途への使用に適することを見いだしたことに基づく発明です。

 

用途発明が適用される技術分野

特許庁の審査基準では、用途発明は、すべての技術分野で適用されるということではなく、限られた技術分野でのみ適用されることに注意が必要になります。

用途発明は、物の構造や名称からその物をどのように使用するかを理解することが比較的困難な技術分野で適用されます。例えば、化学物質を含む組成物の用途の技術分野です。

また、食品の機能性に関する発明の保護及び利用などを図るために、食品の用途発明が追加で認められるようになっています。

一方、機械、器具、物品、装置等については、通常、その物と用途とが一体であるため、用途発明の考え方が適用されることはないとされています。また、特許庁では、化学分野又はバイオ分野であっても、化合物、微生物、動物又は植物は、用途限定のない物として認定するとしている点に注意が必要です。

 

用途発明の例

成分Aを含有する電着下塗り用組成物が既に知られていたケースを考えます。このケースで、貝類の船底への付着防止を理由に、成分Aを含有する船底防汚用組成物を請求項に係る発明としたとします。この場合は、請求項に係る発明は、用途発明として、新規性を有しているものとされます。(i)成分Aの未知の属性(貝類の船底への付着防止)を発見し、(ii)この属性により、成分Aが新たな用途(船底防汚)への使用に適することを見出したことに基づく発明と考えられるためです。

 

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