選択発明

選択発明とは、下位概念又は選択肢の一部を選択し、新規性が否定されない発明です。

特許審査基準によれば、選択発明とは、物の構造に基づく効果の予測が困難な技術分野に属する発明であって、以下のいずれかに該当するものをいいます。

  1. 刊行物等において上位概念で表現された発明(a)から選択された、その上位概念に包含される下位概念で表現された発明(b)であって、刊行物等において上位概念で表現された発明(a)により新規性が否定されないもの
  2. 刊行物等において選択肢で表現された発明(a)から選択された、その選択肢の一部を発明特定事項と仮定したときの発明(b)であって、刊行物等において選択肢で表現された発明(a)により新規性が否定されないもの

重要な点は、新規性が否定されない発明であることが必要である点になります。たとえ優れた効果を奏する選択肢を見つけたとしても、刊行物等に既に記載された技術と同一では、選択発明ではなく、特許性がないということに注意が必要です。

選択発明は、物の構造に基づく効果の予測が困難な技術分野における発明であるため、化学分野などでよく主張されています。

 

 

選択発明の審査

選択発明は、特許要件である、新規性及び進歩性の有無で問題が起こりがちです。

請求項に係る発明の引用発明と比較した効果が以下の全てを満たす場合は、その選択発明が進歩性を有しているものと判断されます。

  1. その効果が刊行物等に記載又は掲載されていない有利なものであること。
  2. その効果が刊行物等において上位概念又は選択肢で表現された発明が有する効果とは異質なもの、又は同質であるが際立って優れたものであること。
  3. その効果が出願時の技術水準から当業者が予測できたものでないこと。

例としては、以下のとおりです。

 

 

選択発明の例

ある一般式で表される化合物(A)は、殺虫性を持つことが既に知られていたケースを考えます。このケースで、公知ではない特定の化合物(a)について、人に対して毒性が一般式中の他の化合物に比べて顕著に少ないことが新たに見つかり、この特定の化合物(a)が殺虫剤の有効成分として請求項に係る発明であると選択されたとします。この場合は、請求項に係る発明は選択発明として、進歩性を有しているものとされます。


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