これまで、特許発明がプロダクト・バイ・プロセス・クレームで記載された場合に、異なる方法で製造された同一物にも効力が及ぶか否かについて議論がありました。
従来の知財高裁大合議判決では、プロダクト・バイ・プロセス・クレームを「真正PBPクレーム(プロダクト・バイ・プロセス・クレーム)」(物の特定を直接的にその構造又は特性によることが出願時において不可能又は困難であるとの事情が存在するもの)と、「不真正PBPクレーム」(物の特定を構造や特性によってすることが困難な事情が存在しないもの)とに分類し、「真正PBPクレーム」には物同一説を適用し、「不真正PBPクレーム」には製法限定説を適用するという考え方を採用していました。
しかし、下記の最高裁判決では、プロダクト・バイ・プロセス・クレームを真正か不真正かを問わず、物同一説を統一的に適用するとしました。また、「不可能・非実際的事情」が存在する場合に限り、プロダクト・バイ・プロセス・クレームが明確性要件(特許法36条6項2号)に適合すると判示し、知財高裁大合議判決を破棄差し戻しました。(平成29年度知的財産に関する日中共同研究報告書等 参照)
なお、最高裁判決を踏まえ、特許庁では、プロダクト・バイ・プロセス・クレームに対する審査の取扱いを変更していることに注意が必要になります。
物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されているいわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームにおける発明の要旨の認定
物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されているいわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームの場合であっても、その発明の要旨は、当該製造方法により製造された物と構造、特性等が同一である物として認定される。