田中耕一氏は、島津製作所の研究者として、ソフトレーザーによる質量分析技術の開発により、2002年にノーベル化学賞を受賞しまています。
タンパク質の質量分析において、タンパク質を気化し、かつイオン化させる必要があります。しかし、高エネルギーを加えるとタンパク質が気化するのではなく分解してしまうため、特に高分子量のタンパク質をイオン化することは困難でした。
そこで、グリセロールとコバルトの混合物(マトリックス)を熱エネルギー緩衝材として使用することで、タンパク質をレーザーで気化して検出することに世界で初めて成功しました。実験は、グリセロールとコバルトを混ぜたものを誤って使用したことから始まり、最初は捨てるつもりだったそうですが、見事に実験に成功したということです。
ノーベル賞受賞後に、田中耕一氏は、「自分の発明は会社の売り上げにあまり貢献しなかった」という内容の発言をしたとされています。特許出願から設定登録を経て特許権消滅に至る経過は、かなり静かなものとなっており、この発言の内容と一致している印象を受けます。
ウィキペディア田中耕一氏のページ 参照 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E4%B8%AD%E8%80%95%E4%B8%80
特許権者 株式会社島津製作所
発明者 吉田 多見男、田中 耕一
レーザイオン化質量分析計用試料作成方法および試料ホルダ
1 パルスレーザ光の照射により試料からイオンを引出して分析部に導き、そのイオンの質量を求める装置により、固体試料を分析するに当り、上記装置に供する試料を作成する方法であつて、分析すべき固体試料を溶媒で溶かして試料溶液を作つた後、その試料溶液と、グリセリン等の高粘性で低蒸気圧の液体と、金属微粒子とを混合し、その混合物を上記装置の試料ホルダに塗布することを特徴とする、レーザイオン化質量分析計用試料作成方法。
2 パルスレーザ光の照射により試料からイオンを引出して分析部に導き、そのイオンの質量を求める装置において、固体試料を分析すべく、当該固体試料を溶媒で溶かしてなる試料溶液と、グリセリン等の高粘性で低蒸気圧の液体と、金属微粒子とを混合して作成された試料を塗布して保持するための試料ホルダであつて、上記試料塗布面に、複数の一様な凹凸を形成したことを特徴とする、レーザイオン化質量分析計用試料ホルダ。
本発明は、レーザイオン化質量分析計により固体試料の分析を行うための試料の作成方法、およびその試料を保持するための試料ホルダに関する。