ノーベル化学賞受賞者の白川英樹氏の特許出願

白川英樹氏は、日本の化学者で、筑波大学名誉教授です。白川英樹氏は、導電性高分子の発見と発展により、2000年にアラン・マクダーミッド氏とアラン・ヒーガー氏と共にノーベル化学賞を受賞しました。

電気を通すプラスチックは、画面に触れるだけでさまざまな操作ができる「タッチパネル」や、小型で大容量の「電池」などに欠かせない技術として、世界中で広く使用されています。その基礎を築いたのは、2000年にノーベル化学賞を受賞した日本の研究者、白川英樹氏ら3人です。

従来、プラスチックは、電気を通さない物質とされてきましたが、白川英樹氏らはその常識を覆しました。白川英樹氏が大学でプラスチックの作り方を教えていたところ、薬剤の量を間違えたことで、見たことのない銀色の薄い膜のような物質ができていることに気づきました。白川英樹氏はその物質に注目し、アメリカの研究者らとともに性質を調べました。その結果、ポリアセチレンという化合物でできたこの膜に少しだけ不純物を加えることで、プラスチックが電気を通す性質を持つことを発見しました。電気を通すプラスチックができたことで、現在のタッチパネルや小型のバッテリーなどが次々と実現し、暮らしを一変させることになりました。

次の特許出願は、白川英樹氏を発明者とする、導電性高分子に関するものです。

これもノーベル化学賞?!スマホのパネル 参照 https://www3.nhk.or.jp/news/special/nobelprize/2019/chemical/article_03_02.html

 

白川英樹氏を発明者とする特許出願の内容

特公昭48-032581

特許権者 東京工業大学長
発明者 白川 英樹ら

【発明の名称】

膜状および繊維状アセチレン高重合体の製造方法

【特許請求の範囲】

1 アセチレンを重合して高度に共役した二重結合をもつ直鎖状高重合体を製造する場合、適当な溶媒に均一に溶解する触媒を使用し、その触媒溶液と気体アセチレンの自由表面近傍の界面および金属、ガラスその他の固体表面にこの、触媒溶液を塗布した表面において重合を行なうことを特徴とする有機半導体としての特性をもつ膜状および繊維状アセチレン高重合体の製造方法。

発明の詳細な説明

アセチレン並びにアセチレン誘導体の重合体製造に関してこれ迄に多くの研究が行なわれてきたアセチレンの重合に関してベンゼン、スチレン及びシクロオクタテトラエン等の低分子量重合体類の製造の他に黒色粉末状アセチレン高重合体はアセチレンが直鎖状に結合し、重合度とほぼ一致する共役二重結合をもつ高重合体であり、重合体中に含まれる若干の可溶性低重合体を除いて黒色を呈する高重合体はいかなる溶剤にも不溶である。
又、一定の融点又は軟化点を示さず溶融することが不可能なため粉末の加圧成型法以外に成型加工をすることができなかった。
本発明は重合触媒溶液とアセチレン気体との自由表面近傍の界・面において高重合反応を行ない直接的に有機半導体としての性質をもつ膜状および繊維状アセチレン高重合体を製造する方法に関するものである。

 

アーウェル国際特許事務所の化学について