ノーベル化学賞受賞者のバリー・シャープレスの特許出願

バリー・シャープレスは、アメリカの有機化学者で、立体選択的な酸化反応(シャープレス酸化、シャープレス不斉ジヒドロキシ化、シャープレス不斉アミノヒドロキシ化)の研究により2001年にノーベル化学賞を受賞しました。その後、分子を簡単に結合する「クリックケミストリー」と「生体内直交化学」の研究により、2022年にもノーベル化学賞を受賞しました。これは、化学分野で2度目の受賞となる歴史的な快挙になります。

複雑な分子の合成には、多くの時間と多くの費用とがかかっています。バリー・シャープレスは、分子の構成要素を素早く効率的に結合させる「クリックケミストリー」という概念を作り出しました。2002年、バリー・シャープレスとモーテン・メルダルは、それぞれ独立して、銅触媒を用いたアジド・アルキン環化付加反応という、エレガントで効率的な化学反応を開発しました。この反応は現在、医薬品の開発、DNAのマッピング、新素材の創製などに広く利用されています。

次の特許出願は、バリー・シャープレスを発明者とする、クリックケミストリーに関するものです。

K. Barry Sharpless Facts参照 https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/2022/sharpless/facts/

 

バリー・シャープレスを発明者とする特許出願の内容

特許4638225

特許権者 ザ スクリプス リサーチ インスティテュート
発明者 シャープレス, バリー・ケイら

【発明の名称】

銅を触媒とするアジドとアセチレンのライゲーション

【特許請求の範囲】

【請求項1】
末端アルキン部分を有する第一反応体とアジド部分を有する第二反応体とを含む溶液と、CuII塩及び還元剤とを接触させるステップを含む、1,4-二置換[1,2,3]-トリアゾールの製造方法。
【請求項2】
室温で行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記溶液が、等モル量の前記第一反応体と前記第二反応体を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記CuII塩が、CuSO4・5H2Oである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記還元剤が、アスコルビン酸ナトリウムである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記溶液が、水溶液である、請求項1に記載の製造方法。

発明の詳細な説明

【技術分野】
本発明は、銅(I)を触媒とする段階的Huisgen付加環化法に関する。より詳細には、本発明は、トリアゾールを生成するための、銅を触媒とするアジドと末端アルキンの位置選択的クリックケミストリーライゲーションに関する。

 

 

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